未経験からの医療エンジニアへ

日本の社会保障費における医療費の現状と課題

日本の社会保障費は年々増加しており、その中でも医療費は大きな割合を占めています。医療費の総額は高齢化に伴って増加傾向が続いており、特に高齢者医療の需要が大きく影響しています。2023年度のデータによれば、国民医療費は約45兆円に上り、そのうち約25%が高齢者(75歳以上)にかかる医療費です。このような膨張する医療費は、日本の財政において大きな負担となっています。また子育てなどでさまざまな費用が増える勤労世代は社会保障費により重い負担を抱えています。医療費についても、窓口負担が1〜3割になっていることで、見えづらい部分はありますが、依然として高額であり、医薬品や診療報酬のコストが大きく影響しています。

技術の進歩や医療業界で提唱されるEBM(Evidence Based Medicine)といった、根拠のあるデータ(evidence)に基づいた治療が重視され、治療法の選択肢が増えた結果、患者のQOL(Quality of Life)については向上が図られている一方で、その分医療費が増加するという現象も見られています。

 

医療業界におけるシステム化の遅れとその要因

医療業界では、患者のデータ管理や診療報酬の請求、診療記録のデジタル化など、システム化の重要性が増しています。しかし、依然としてIT化が遅れている点が指摘されています。これは、以下のような要因が挙げられます。

※新規開院するクリニックはIT化されていることが多いですが、街中に古くからあるクリニックや公的医療機関においてはまだまだ進んでいません。

1. 多くの医療機関の小規模経営

医師が2〜4名程度クリニック(院長先生と非常勤の勤務医の2診体制)が多く、資金や人材の不足からIT化のハードルが高い現実があります。また病院においては電子カルテ導入に関する費用負担も難しく、導入に踏み切れないケースも多いのです。(小規模病院であっても5年で1億円以上の費用がかかります。)

2. セキュリティとプライバシーへの懸念

医療データは機密性が高く、情報漏洩のリスクが常に課題です。特に患者情報を扱うため、十分なセキュリティ対策が求められるとともに、ランサムウェア等のリスクもあるため電子カルテネットワークはイントラネットから外部に繋がらないような病院も多いです。

3. 複雑な制度と規制

医療制度は複雑で、診療報酬の計算や請求手続きに多くの労力を要します。また、法的要件に対応しつつ業務のデジタル化を進めるためには、適切な専門知識も求められます。

 

これらの課題に対してエンジニアとしては何ができるのかを一緒に考え、開発を行っていく仕事です。

 

エンジニアとして得られるスキルと可能性

医療業界のIT化に取り組むことで、非常に専門性の高いスキルセットを磨くことができます。これは例えば、以下のようなメリットが得られます。

医療とITの橋渡し役としてのスキル

医療従事者とのコミュニケーションを通じて、業界特有の知識やニーズを理解するスキルも身に付きます。特に、医療現場の課題をITで解決するための調整力やプロジェクト管理力は、エンジニアとしての価値を高める要因となります。

高度なセキュリティ知識

医療データを守るためのセキュリティ技術は他業界でも応用が効き、重要なスキルとなります。特に認証技術やデータ暗号化、ネットワークセキュリティの知識は、他の業界へのキャリア展開においても有利です。

ビッグデータとAIの応用

膨大な診療データの管理と解析に携わることで、データサイエンスやAIの技術に精通することができます。これにより、患者の予後予測や疾病予防に関する新たな価値提供も可能になります。

まとめ

医療業界のシステム化の遅れは課題である一方、エンジニアにとっては貴重なキャリア機会です。医療現場のニーズに応え、患者や医療従事者に利便性と安全を提供するシステムを開発することで、医療業界の未来を作っていくことができるのは社会貢献にもつながると考えています。技術力を蓄えながら医療業界の発展を支援するエンジニアとして、弊社で一緒にお仕事をしてみませんか?

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